アグラー編

ラムさん
次の日も寝たり起きたり。
何よりも食えないのが辛かった。
食えなきゃどんどん弱ってしまう。
しかし、食ったら食ったでお腹の中で病原菌が元気になってしまうようで、ラッシーを無理やり飲んだためかいったん治まってきた腹痛がまた悪化した。
そんな僕の様子を見てオーナーのラムさんは気遣ってくれた。
そっけないがとても親切な人だった。


この日薬を買いに行こうと思い、偶然ホテルのレストランで話しかけてきた男に薬屋はないか尋ねた時である。
500メートルほど先にあるとのことで案内してくれるそうだ。
身なりもちゃんとしているしとても紳士に見えた。
だが、彼についていこうとするとラムさんに止められてしまった。
「彼は外の人間だから信用しちゃいけない。」
そして、その男を追い払ってしまった。
実際あの紳士が騙そうとしていたのかは今では分からない。
しかし、インド人ですら同じインド人を信用していないということに驚きを覚えたのだった。

まあ、ともかくラムさんにはお世話になった。
部屋がうるさいからと別のいい部屋に交換してくれたし、
僕が自前で買ってきた薬がどうやら強すぎる薬だったらしく別の薬に交換してきてくれた。
信用できる人だと思う。
いつまでたっても無愛想なのは変わらなかったが。


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