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タージマハルはいかほどか?
次の日、体調は徐々に回復してきていた。
昨日同じ宿の日本人にも薬を分けてもらい、食事も絶つようにした。
だるさと食欲はまだ治らないがとりあえず下痢は止まったようだ。
この日、タージマハルに行きたいと言うと、ラムさんが一日ツアーを組んでくれた。
今日なら何とか動けそうだ。
今日はタージマハルとアーグラー城で150Rs。安くはないがまた交渉で面倒なことになりたくはなかったので願ったりかなったりだ。
今は安全を優先しよう。
今日案内してくれるのはアレクサンダーという背が高くてかっこいいおじいちゃん。
このアレクサンダーがまた凄いオートリクシャー使いで、
どう考えても駐車できないだろという駐車スペースにかなりのスピードで突っ込んで ぴたっと止めるのだ。
見てみると両隣の車と10センチも離れてない。
いったいどうやって二人とも外に出たのかは覚えていないが・・・。
確かにインド人は皆これぐらい運転がうまい気がする
でも、こうなるまでには何度もぶつかってるんだろうな。
アレクサンダーの車も凹みまくりだ。
日本じゃ考えられない。
車を止めてタージマハルに一人歩いていくとまたもや怪しいインド人が話し掛けてくる。
ラムさんは心配性で彼らには気をつけるよう相当注意されたが、
デリーで奴らの扱いには慣れたので物の数ではなかった。
完全無視。
日本語を話す怪しいインド人なんてもう空気ぐらいの存在だ。
余裕でタージマハルに入っていく。
タージマハルは見聞きしたとおりの凄い建築物だった。
白く巨大な大理石の廟は少し離れてみるとインドの霞んだ空気を通してぼんやりと幻想的で、まるで超巨大な絵画を見ているかのように現実感が無かった。
しかしだ、何だろう、 僕には5分も見れば飽きてしまうものだった。
偉そうにもこんな風に言ってはインド通に叱られてしまいそうだけれどでも、この点は椎名誠と同じである。
僕の性格がそうなのか、
どんな美しい建築物も5分と感動させ続けることが出来ない。
でも、せっかくアーグラーに来たんだからこれを見なければ意味がないと思い一通り見て回ることにした。
全くでかい建物である。
これが一人の愛人のための墓だというのだから昔の王様は凄いカリスマだよなと思った。
それを黙々と作り上げる民衆もバカだよなと思う。
タージマハルにはツアーで来たような外国人が沢山いた。
外人が入るには外人料金が必要である。
これがまたインドのいやらしいところで外人はインド人の何十倍も多く払わなければならないのだ。
ツアーで来るようなリッチマンならともかく、安上がりな旅をしている僕にしてみればムッとくる。
しかし、日本人がインド人の格好をしていってもバレバレだろうしここは仕方がない。
結果としてはタージマハルに来たのは失敗だったかもしれない。
歩き回って見ていても、ひたすら体がだるく、ずっと何のために来たんだろうと考えていた。
その後アーグラー城に行き少し城の中で迷った。
同じように迷っている若い欧米人を見つけ苦笑いしあった。
アーグラー城。造りはかなり城っぽい。
昼食(軽く食べることはできた)の後、さあ、帰るのかと思ったら、何を血迷ったか頼んでないのにアレクサンダーは僕を大理石の装飾品工房に連れてきた。
ここで、何か買わせて自分は分け前をもらおうという魂胆だろう。
アレクサンダー、お前もか。
彼も所詮は人の子、稼がなくてはならないというわけだ。
しかし、こんなヘロヘロの状態でもめて、一人で帰らねばならなくったらまた面倒だ。
とりあえず見るだけ見てみようか。
工房の中にはすでに先客がいた。
欧米人が英語で丁寧に説明されている。
その説明が一通り終わると次は僕の番で、実際に作っている現場を見せながら製造過程を一から説明していった。
商売上手だ。
それに、本当に手作りで丹念に作られたものであるらしい。
僕はすっかりその見事さに感心してしまった。
それで、その後別室に案内されいろいろ商品を見せられる。
安かったら一つぐらい買ってもいいかな?とこの時は思っていた。
僕はいろいろ眺めた中の一つを選び値段を聞いてみた。
これは見事な花の模様が入った大理石の宝石入れだ。
初め250Rs(うろ覚え)だったのが値下げして200Rsぐらいまで落ちたような気がする。
200Rsということは日本円で大体500円ちょっとだから・・・・でも、インドの物価は日本の2〜30倍ぐらい?とか考えるうちになんかどうでもよくなってきた。
自分が欲しいと思う値段でいいのだ。
めちゃめちゃぼられてる訳でもないし。
とか思いつつも、結局まとめて買えば安いよとか言われてその他に二つ余計なものを買ってしまった。
後で思えばまだ値切れたのにとは思う。
やはり、体調を戻して頭が働くようになってから行動するべきなのかも。
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