デリー編

初めてのサイクルリクシャー
 3日目、今日はオールドデリーに出かけてみることにした。
オールドデリーにはラルキラーやジャマーマスジッド等の観光名所がある。
まずはラルキラーに向かうことにしてニューデリー駅前でリクシャーを探した。
道を走っているのは断然サイクルリクシャーが多くその一台に声を掛けた。
「ラルキラーまでいくら?」
「100Rs」 とリクシャーを漕いでいるやたらと黒い男は言った。
「ダメだ、20Rsだ」
そう、リクシャーの料金は交渉で決まる。
通常の3倍以上吹っ掛けてくるのはざらで、僕ら外国人は毅然とした態度で交渉しなければいくらでも金がかかってしまう。
ガイドブックを見た限り2〜3キロメートルなので相場は15Rsぐらいだろうか?
でも、初めからものすごいボリかたをしてきたので少し怯んでしまった。
初めに20Rsと言ったらそれ以上下がりようがないではないか。
しまった。
結局20Rsじゃないと絶対乗らないと跳ね返したので向こうも折れたようだった。

 そしてようやくサイクルリクシャーに乗った。これがまた乗り心地が悪い。
サスペンションなど無論付いているはずもなく、ぼこぼこの路面からダイレクトに振動が伝わってくる。 しかし僕は少し感動していた。
ひょろひょろのリクシャーワーラーは見かけによらず力は強く、全身を使ってペダルを漕ぐとゆっくりとリクシャーは走り出した。
人間の力の強さを思い知った。
生まれたときから自動車に慣れ親しんでいる我々日本人にとっては逆に新鮮かも。
ゆっくりだが風を切って走る感覚が心地よい。しかし、感動に浸るのも束の間、早速トラブルが発生してしまった。

 走っていると彼の漕いでいるペダルが突然ぽろっと取れてしまったのだ。
「なんすかそれは!?」
まだ200メートルぐらいしか走っていないのに。
どうするか見ているとリクシャーワーラーは別のサイクルリクシャーに話をつけてそっちに乗れと言っているようだ。
なので、そっちに乗り換えると前のリクシャーワーラーが何か言っている。

「5ルピーだ。」

・・・・・・「は?!!」

そこから口論が始まった。
まだ200メートルしか走ってないしそれにペダルが取れて走れなくなったのはこっちの責任ではない。
だが、向こうも全く引かなかった。
さらに口論してるとどんどん人が集まってきて奴もヒンディー語でまくし立てているのでどんどんこちらの分が悪くなってきた。
「これはいかん!」と思い彼に無理やり3ルピー押し付けてその場から逃げることにした。
うまく行かないものだ。
それからというもの、インドではどこに行ってもリクシャーに乗る度にトラブルに悩まされることになる。 リクシャーは僕にとっての鬼門だった。


例のリクシャー↑ ひょっとするとあれは彼の楽して稼ごうという作戦なのか?

 リクシャーと物別れに終わったあと、そのまま歩いているとさっき紹介されたほうのリクシャーワーラーが声を掛けてきた。
そこで僕はまた交渉し15ルピーで乗ることになった。
サイクルリクシャーから見るオールドデリーはニューデリーとはまた一味違った。
ニューデリーよりもさらに埃っぽく古い町並みで牛はもちろん馬などもよく目にした。
路上ではまだ寒い朝だというのに体を洗っている人がいる。
黒い体に石鹸の泡がよく目立っていた。
またその隣では路上で巨大な揚げパンのような物体を売っている人たちがいる。
リヤカーに山積みのそれらはそこで生活している人たちのエネルギー源なのだろう。
恐ろしく無骨で大きな食い物だった。



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