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次の町へ
出会ったばかりだが、ヒロともお別れ。
昨日一緒に行って教えてもらいながら取った列車のチケットを確認して僕はホテルを出た。
熱が上がってきていたが今はかまってられない。
次の町はアーグラーだ。あのインドでもっとも有名な建築物がある街である。
ニューデリー駅には早めに着いたのだが、どのホームに列車が止まってるのか分からず右往左往してしまった。
人に聞いても聞く人によって全く違う。一体誰を信用していいやら。
しかし、一人とても親切な人がいて僕をその案内が書いてある場所に連れて行ってくれた。
その人は案内した後お金をせびるわけでもなく「よい旅を」といって爽やかに去っていった。
それまでデリーではろくな連中を見てこなかったせいもあり、この人の親切は僕のハートにぐっときた。
なんだまともなインド人もいるじゃないか。
「ありがとう。」
しかし、もう発車の時間まで時間がない。
いくらインドの列車が時間にルーズだからって走り出したら列車は止まらない。
僕は急いで2番ホームに向かったのだが今度はどの車両に乗るのか分からなかった。
そこで、ポーターさん(*7)に聞いてみることに。
すると今度はしっかり案内料を取られてしまった。
払いたくはなかったがしょうがない。背に腹は変えられない。
ようやく僕が席に座り一息つくと列車はゆっくりと走り出した。
さらばデリー、そして次の町へ。
なんだかようやく旅っぽくなってきたぞ。
ここは二等寝台車。バックパッカーの定番である。
僕の隣には夫婦とその幼い子供達が座っていた。
子供は三人で一人は母親に抱きかかえられている。
母親はやけに若い。
お互いしばらく黙って座っていた。
すこしして僕は母親に抱えられている乳児がむずがりだしたのに気が付いた。
おしっこかな?
だが、その後僕は衝撃的な映像を目にすることになる。
なんと
その母親はむずがりだした我が子の服を脱がせ
その場でオシッコさせ始めたのだ。
「お、おい、やめ・・・・・。」
ジョーーーーー
・・・・・・・・・
乳児はその体に似合わず大量のオシッコを床に投下した。
よくでたねー、よちよち。
って、おい!
ありえないありえないありえないありえないありえないありえない・・・・・
オシッコは床に広がり勢力を拡大していった。
僕の領土が侵略されるのも時間の問題。
そしてとうとう僕のザックの寸前まで押し寄せてきたとき
父親が初めて動いた。
彼は自分の靴でオシッコをせきとめたと思いきや、
ぐりぐり踏んで伸ばしてしまった。
ていうかトイレあんだからそこでやれよ。
オシッコは彼らの領土で無事乾いていった。
僕の領土は守られたが、なんだか釈然としないものが残った。
つまりはこの車両全体がこのように乾いたおしっこやら何やらでいっぱ・・・・悲しくなるのでそれ以上考えないことにしよう。
ここでも分かったのだがインドにははっきり言ってマナーや常識といったものは存在しない。
なんでもありである。
なんでもありを許す社会。
それがインドの社会である。
自由の国インド万歳!!
(*7)ポーター:駅には荷物を運ぶ仕事をするポーターがいる。彼らは赤い帽子をかぶっているのですぐ見分けが付く。金をせびられるかは人によるが、迷ったら彼らに聞いてみよう。
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