ポカラ編

チベタン村の女はたくましい
 12月27日。旅が始まって20日目である。やっと半分になった。
今日は三人で歩いて2kmぐらいのDevi's Fallという滝とチベット村に行くことにした。
歩いているとここがインドとは別世界であることが分かる。
景色は実にのどかで広々としており、道行く人もにこやかでいい人たちばかりだ。
ポカラはネパール第二の都市で地上からヒマラヤ山脈が見渡せる有名なリゾート地である。
しかし、インドと違って観光地でありながらそれを目当てにする悪質な商売をする人が少ない。
やはり、インド人とネパール人との人柄の違いなのだろうか。
インドではハイエナのように人が群がってくるのに。
歩いていると途中にセブンイレブンがあった。


注意!おでんは売っていません。


Devi's Fallは水量が少なく全然大したことはなかったが、二人の坊主頭の欧米人女性が座禅を組んで瞑想していたりして不思議な光景だった。

 滝よりはチベット村のほうが面白かった。
チベット村の土産物屋の女性は実に商売上手だ。
彼女達は実にしたたかなのである。
値引きするのも一苦労だし適正価格をなかなか悟せない。
さらに一度捕まるとなかなか放してもらえないのだ。
僕は物々交換しようと日本円を見せたがそれを人質にされてしまいモノを買わされそうになった。
しかし、概して彼女たちはインドの商売人と違って人がいい。
インド人と違い買って嫌な気分になるということは少なかった。
なので、僕はそこでいろいろ買ってしまった。
一方、ヘギョンは騙されるのが嫌だといってあまり買わなかった。

 僕は思うに日本人は彼ら商売人はすごいボッタクリをするといって、悪く言われる事が多いがそれは見方の違いだ。
日本人にとってはモノの価格が決まっているのは当たり前の感覚かもしれないが、本当は価格とは需要と供給のバランス等によって自由に変化するものだ。
だから相手が金を持っていて、それを欲しいと望んでいるなら高く売るのは当然。
それをするしないで利益にかなり差が出るのだから。
特に土産物なんて水モノだ。
もし嫌なら買わなければいい、それだけのことだ。
だから僕らは騙されているわけではない。その時、その価格で納得して買っているのだから。
僕らが彼らに対してボッタクリだと言ってとことん値切ろうとするのは強者が弱者の足元を見ているに過ぎない。
ただ、高く買いすぎると観光客ずれしてしまうし、何も買わないと彼らは生活できない。
そのバランスが難しいのだと思う。
ただし、価格が頻繁に変わるという事は、同時に信用もなくすということだ。
日本ならその店は信用がなくなってしまう。
彼らのやり方が成立するのはそれが一度きりの観光客相手の商売だからなのであろう。
僕たちにとってはどの店がいいかなんてほとんど分からないのだから。


 それにしても歩くと右足が痛い。バナラシからずっとだ。
いったいどうしたのだろう。


 ホテルに戻るとホテルのマネージャーとトレッキングについての相談をした。
そう、ここポカラに来たのはヒマラヤのトレッキングをしてみたいがためだった。
ヒロもヘギョンもトレッキングをしたいと言っていて、相談して僕はヘギョンと一緒に行動する事にした。
ヒロは一人でトレッキングすると言う。
どうしても山の上から初日の出を見たいのだそうだ。
僕は大晦日は地上で過ごす事にした。
ホテルで大晦日パーティーを開くからだ。
どうせなら賑やかなほうがいい。
しかし、この時点でうまく話はまとまらなかった。
ヘギョンはガイドは必要ないという。
確かにガイドを付けると高くなるし、他の旅行社の値段も知りたかったのだろう。
確かにまけてくれたとはいえ82$はこの国では大金だ。

 その後、他の旅行社も回ってみたが結局ホテルミラクルの値段はそれなりに安いという結論に達した。
それでマネージャーに再度頼みトレッキングツアーを組んでもらった。
スケジュールは明後日から2泊3日。

ポカラ(900m)→ダンプス(1800m)→ポタナ(2020m)、C1→サランコット(1592m)、C2→ポカラ

のミニトレッキングコースである。
ガイドをするのはなんとホテル従業員のナラエンである。
面白い事になりそうだ。


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