ミャンマー旅行記

<ヤクザ>
「バガンの次はマンダレーに行くのか、マンダレーにはヤクザが沢山いるよ。」
何気ない会話の途中、その青年は唐突にそう言った。
「YAKUZA?よくそんな言葉知ってるね。(・・・マンダレーって結構やばいのかな?)」


僕はピイという町から遺跡の町バガンに向かう途中だった。
バスは夕方に出発したため、バガンへの中継地点であるチャゥパダウンに着いたのは真夜中の2時を回っていた。 それからバガン行きのバスに乗り換えるのが4時なので、それまで待たなくてはならないわけだ。 他の乗客はチャゥパダウンでは休憩を取っただけで、すぐにバスに乗って行ってしまった。
ここで乗換えをするのは僕だけのようだ。
幸いこの休憩所がこの真夜中でも営業をしているのでしばらく居座っていると、店員の一人が話しかけてきた。
そこでさっきの話が出てくる。


「そう、YAKUZAは日本語だよね。知ってるよ。」

彼はその言葉をある友達から教えてもらったそうだ。
なんでもその友達は日本に行ったことがあるらしく、日本での土産話を彼によく話していた。

「その友達がね、日本のSENTOU(銭湯)に行ったんだって。そこで普通に体を洗ったり、湯船に浸かったりしたんだけど、なぜか周りの日本人は自分のそばから離れていくそうなんだ。気が付いたら自分の周りだけ人がいないの、おかしいだろ?」
「なんでだろ?」
「別に体が臭いからでもないし特に変わったことはしてない。後から彼は人に教えられて理由がわかったんだって。」
「ふーん」
「何でかって言うと、彼の背中には大きな竜の刺青がしてあった。怖い人かと思われたんだ。それって日本ではYAKUZAって言うんでしょ?」
「そっか!あはは、そりゃ逃げていくわな。」

彼が言うマンダレーにヤクザがいっぱい居るというのはおそらく刺青をしている人が多いということなんだろう。
タイでもミャンマーでも刺青は日本のように特別なものではない。
現にこの青年も大きくはないが腕にアメリカインディアンの刺青を入れていた。

それにしても、隣の人が背中に大きな竜の刺青をしてたらびびるよなあ。
僕は付け足しておいた。
「知ってる?大きな竜の刺青はベリー・ストロング・ヤクザの意味だよ。」
「そうなの!?そりゃますます面白いや。」
彼は大きな声で笑った。
この説明、正しくは無いけどあながち間違いでもないよね。


余談だが、彼が言うには刺青は消すこともできるらしい。
消し方は肌色の色素で上書きするといっていたが本当だろうか?
でも、入れるときは2000チャット(約240円)ぐらいだが、消すのは十倍のお金が掛かるとか。
(それでも2400円!安い!興味のある人はお試しあれ)




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