おぐら農園について

ロケーション

青森県弘前市の岩木山麓に二カ所合計1.2haの小規模農園です。りんごと桃を主に栽培しています。周囲は畑か原野なのでさまざまな動物がやってくる自然豊かな場所です。

園主について

小倉慎吾:1980年3月14日生まれ
弘前市高岡のりんご農家に生まれました。
弘前大学理工学部物質理工学科に進学しましたが、実際大学生活は「探検部」というアウトドアサークルを中心に回っていました。
沢登り、川下り、冬山登山、洞窟探検などさまざまな活動を通し、学問より多くのことを学びました。
また、探検部の先輩の影響もあって海外旅行にも興味を持ちインド、ネパール、中国、タイ、ミャンマーを訪れています。
その後就職のため上京するのですが、一度都会に出たことで逆に田舎暮らしの素晴らしさを再認識しりんご農家になることを決意します。
現在実家は兄が継ぎ、僕たちは独立して経営しています。妻と娘が二人います。

農薬についての考え方

経費節減と少しでも環境への負荷を減らすため農薬散布を減らす努力をしています。
しかし、美味しいりんご作りには樹体と葉の健康が最も重要であるとも考えています。安全性が確認された農薬を散布濃度・時期を適切に守って栽培しています。
その中でもさらに安全性が高いと考えられるBT剤(微生物農薬)、コンフューザー(合成フェロモンによる害虫の交信攪乱)等を積極使用しておりまた、一部でミツバチの大量死との関係が疑われているネオニコチノイド系殺虫剤については独自の判断で使用を控えているところです。
なお、減農薬・無農薬に固執するあまりりんごの美味しさや樹の健康を損なうような栽培はしません。
もし病気で早期に落葉するようであればそのりんごは糖度が低く、肥大も劣り、果実はくすんだ死に色になります。

無農薬で早期に落葉した園地と通常の園地

写真はどちらも2014年10月15日に近所の無農薬の園地と当園地を撮影したものです。無農薬の園地は10月頭にはすでにこのような状態でそれから全くりんごの着色が進んでいません。褐班病という病気で果実の周りの葉っぱがほとんど落葉してしまっています。葉が落ちて果実に太陽光がたくさん当たるにもかかわらず果実に色がつかない栄養不足の状態です。いかに葉っぱが大事かが分かる写真です。
葉はりんごの生命線です。りんごの樹が健康で光合成を盛んにし、葉から実に十分に栄養を送り込んでこそ美味しいりんごに育つのです。
人間と同じく病気に負けない健康な体づくりがまず基本にあって、それでも克服できない病気に対しては必要最小限に薬を使うというのが基本的考えです。
過剰に薬漬けではいけませんが必要なときに必要な薬を使用する。それがおぐら農園のポリシーです。

肥料についての考え方

無化学肥料で、牛糞堆肥と有機肥料を中心に適度に施肥しています。
これも農薬と考え方は同じでやせた土地なのに全く肥料を施さないと収量が上がらないし、りんごの樹も弱々しいものとなります。
かといって過剰に施肥すると果実品質が悪くなるばかりか病気が蔓延しやすい樹になります。
適度が大事なのです。
同じ畑でも場所によって、樹によって状態が全く違うため、一本一本の樹ごとに樹勢を見極め施肥量、剪定の強度、摘果の順番を変えています。小規模農家ならではのきめ細やかな栽培を目指しています。全体として施肥量は標準の半分以下となっています。

季節の作業

・施肥
牛糞堆肥と有機肥料を適度に施します。

・人工授粉
りんごは受粉が不十分だと変形果が多くなります。確実な結実のため人工授粉をはじめました。作業には商品名「ラブタッチ」を使います。
・マメコバチ
人工授粉で足りないところは飼育しているマメコバチに受粉を手伝ってもらいます。巣となるアシガヤを少しずつ更新していくことでマメコバチを維持していきます。

・接木、苗木作り
古い品種から新しい品種に徐々に更新するために、接木をしたり苗木を作ったりします。

春〜夏 ・摘花、摘果
一年の中で最も手間と時間のかかるのがこの作業です。りんごが小さいうちはとにかく早く摘果をして、ある程度大きくなってきたら仕上げに素質を見極めながらいいものだけ残します。

・薬剤散布
スピードスプレイヤーで農薬を散布します。

・支柱入れ
りんごが大きくなってくると重さで枝が垂れ下がってきます。そこで枝を支えることで全体に満遍なく日光を注ぐことが出来光合成を促進します。

・早生種の着色管理
早生種の葉取り、ツル回しは8月後半から9月頭にかけて。

・葉取り 
果実の周りの葉っぱを取り果実に光を当てます。

・ツル回し
果実を回転させることで光の偏りをなくします。

・収穫 
一年の集大成。農家にとって忙しくも喜びのときです。

・剪定 
りんご農家にとって最も技術を試される作業です。剪定の出来によって収量や果実品質が格段に変わります。寒い中ですが一番好きな作業です。


りんごと葉っぱの大事な関係

<葉取り作業>
日光をさえぎる葉っぱを取ることで果実に光を当てりんごは綺麗な赤い色に仕上がります。
しかし、りんごに限らずほとんどの植物は葉で光合成をして生命を維持しています。それを取るということは本来植物として好ましくないことであるはずです。
しかも、葉取りの作業は農繁期のりんご農家にあって大変な負荷です。

葉取り作業

<葉とらずりんごの登場>
そこで葉とらずりんごというものが登場しました。
葉のあとがつき見た目は悪くても葉っぱから送られる栄養分のおかげで糖度が高いということで差別化され売られるようになりました。
これで着色管理に費やす時間を減らすことが出来ます。
しかし、実際に葉とらずりんごとの糖度の比較をした結果、適期に葉取りをしたものは葉とらずりんごと糖度の違いはほとんど見られませんでした。
実はりんごにとって葉で光合成することはもちろん大事ですが、果実自体にも光が当たらないと糖度が上がらないのです。
だから葉とらずりんごは葉の裏の光が当たらない部分の糖度は下がってしまい、葉っぱを取らないことで上がる糖度と相殺されてしまうのではないかと推察できます。

<早い葉取りは命取り>
ここで重要なのが葉を取る時期です。
現在、農家の高齢化と後継者不足により労働力がどんどん低下しています。葉取り作業も前倒ししないと仕事をこなせない農家が増えてきました。
しかし、あまり早く葉を取ると糖度が上がらず果実肥大も止まりいいことがありません。

<葉っぱを取っても甘いりんご>
毎年葉とり作業をやってるうちに気づきました。
収穫が近づいてくると黄色くなる葉が多くなり葉っぱがぽろぽろと取れやすくなるのです。
これは紅葉の始まりです。
そのタイミングで葉を取ってやれば葉とり作業は遅くとも見事に色がつくことが分かりました。
果実に十分に栄養を送り役目を終えたため、葉っぱはもう取っても大丈夫というサインを送っているのだと思います。
そして満遍なく果実に光が当たったりんごは糖度の偏りもなくおいしくなるのです。
それから、葉取りは必要最小限、りんごの周りの葉っぱだけにする。これも重量です。
当園のりんごはぎりぎりまで葉取りを遅らせた太陽の恵みいっぱいのりんごです。


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