カルカッタ編

ボランティア二日目
 今日も朝はボランティア。一人で起きて行ったら大分早く着いてしまった。
今日はバスが普通に動いていたので現場には昨日より大分早く着くことが出来た。
今日もやはり決まったメンバーは来てるらしい。 昨日より早く着いたこともあって、仕事は患者に朝食を食べさせることから始まった。
ここには自力で食事もできない人が沢山いる。
ここに入った人は元気になって出て行くことはほとんど無いのだろうなと思った。
死を待つ人たちなのだ。
でも、ここに入れることは幸運なのだろう。
誰かが言った。
「ここにいる人達はまだ幸せな方なんだ。ちゃんとした治療は出来ないかも知れないけど、ここにいれば食事も出るし、気にかけてくれる人もいる。外では何の治療も受けられずに一人孤独に死んでいく人がどれだけいることか。」

 食事が終わると、ボランティア全員で歌を歌う。
昨日は遅く着いたのでこんな日課があることは知らなかった。
それは日本人の僕にとっては縁のないキリスト教関係の歌だったが、僕は手渡された歌詞カードに書いてある歌詞にすごく感動した。
それがどんな内容だったのかはあまり覚えていない。
その場の雰囲気に飲まれただけかも知れない。
でも、こうやって誰のために尽くしている人達がとても尊い存在だと言うことが歌詞を通してでも感じられたことは確かだ。

 歌の後はお風呂タイム。
患者を交代で風呂に入れさせないといけない。
自力で歩けない人が殆どなので肩を貸したりして患者を運ぶ。
体を拭いたり服を脱がせたり着せたりするのも全部僕らだ。
そして、一番大変な作業は洗濯だろう。
洗濯液に漬けておいた毛布は水を吸って結構重い。
それを大きな洗濯槽の上、二人一組で一枚一枚バシャバシャと上げ下げしながら洗う。
そして概ね綺麗になったらそれを渾身の力で捻り上げ絞るのだ。
僕の相方は逞しい青年だったので僕の方がへとへとになってしまった。
でも、この半日の作業が終わるとなんとも言えぬ爽快感があった。
適度な疲労が逆にその日一日の元気を与えてくれる気がした。


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