カルカッタ編

ラジュ再び
 それから、ニューマーケットで不意にラジュを見かけた。
僕に気が付くとばつが悪そうにした。

「昨日どうして来なかったのさ?」僕が問い掛けると

「友達がハライタで寝込んでたんで、看病していたのさ。」
と悪びれる様子も無い。

「俺知ってんだぜ。お前バラナシ出身じゃないでしょ。」

「本当だよ、バラナシから来たんだ。」

「何言ってんだ、いいじゃん今さら嘘つかなくたって。」

「本当だって。」

「ははは、いいじゃないの、もうどっちでも。」

僕は笑顔で彼と別れた。
最後まで嘘をついたままなのが心残りだった。
でも、もし次に会うことがあったら、きっと腹を割って話せるよね。
さようなら。


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