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インド最後の夜(前編)
18:30僕はYMCAの前にいた。
インドを去る前にもうちょっと小菅さんと話がしたくて、僕はここで待ち合わせたのだ。
ボランティアを始めた理由もまだ聞いてなかったし。
約束の時間より少し早めに着くと、またいつものようにインドの若者が話しかけて来た。
しかも話してくる内容がラジュと殆ど同じだ。
なにかこう日本人と話すためのマニュアルでもあるんだろうか?
適当にあしらっていたが彼はしつこかった。
僕はこいつと話しに来たわけじゃない。
そうこうしているうちその若者の友達が2〜3人やってきた。
しかもその中に一昨日会った自称「ラジュの兄の友達」(赤シャツの男)がいるではないか!
どうりで話す内容が似通っている訳だ。
こいつら皆仲間か?
彼らは僕がここで何をしているのかしつこく聞いてきた。
僕は友人を待っているとだけ伝えた。
しかし、なんだってこいつらはYMCAの前を屯しているんだろう?
たまたま通り掛かって僕を見つけたという感じでもなさそうだった。
彼らは他人のバイクに堂々と跨っておしゃべりを続ける。
そう言えばラジュもここに慣れた感じで入って行っていた。
多分、ここは彼ら若者の溜まり場なのだろう。
しばらく待って、ようやく小菅さんが現れた。
僕は彼らとの会話にうんざりしていたので助かったと思ったが、屯していたこの若者達とは知り合いだった!
小菅さんが僕の知り合いと見るや彼らは「誰だよ、こいつ」と僕を指差して聞いた。(それはこっちの台詞だ!)
失礼な奴だ。
そもそも、どうして小菅さんはこんなチンピラみたいな奴等と付き合っているのやら。
実際僕は彼らとはとっととおさらばしたかった。
しかし、彼らの圧倒的な押しの奔流の前に僕は成す術もなかった。
こうして僕は、彼らとの楽しいティータイムを過ごすことになった。
彼らの激しいジョークと悪戯の相手で僕はへとへとになった。
小菅さんは僕を助ける気は全く無い様で終止笑顔のまま。
そのうち夕食の話になって、今日は僕が最後の夜なもんだから、彼らは僕に夕食をおごってくれと言い出した。
すわっ!それが狙いか!
僕は彼らの意図が分かったので少々ごねていると、
「君は日本人なんだろ?今日が最後なんだろ?少しぐらい使ったって大した事ないじゃないか!」
とネチネチ攻撃しだした。まあ、それはわかる。
「僕らは貧乏なんだ!」
嘘つけ!
貧乏人が携帯電話なんか持ってるはずないだろ!
そうなのである、意外にも彼らは携帯電話を持っていた。
彼らはインドでもそこそこ高所得者層に位置するに違いない。
それなのにまんまと彼らに奢ってやるのか?僕はごめんだ。
しかし、こちらが承諾しない限り同じ会話が繰り返される。
いつまでたっても先に進めそうに無かった。
・・・しょうがない。僕は今回だけは奢る事にした。
ニューマーケットのレストランで皆でビリヤーニを食べた。
彼らにとっては勝利の味。僕には敗北の味。
最後に記念に写真を撮り、僕は別れてホテルに戻った。
彼らは今も元気だろうか?
僕に一番絡んできたシャギールよ、君がふざけて撮った写真は見事足だけだったぜ!
(写真参照↓)
あの時はまんまと奢らされたけど今度行ったら絶対奢らせるからな!
覚えてろよ!
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