ジャイプル編

ブライアンのちょっといい話
僕らはホテルに戻り夕食を共にした。今日は豪華なレストラン。
と言っても日本に比べれば安い。
そこではいろいろな話をした。
日本やアメリカが他の国にどう思われてるかとか。
やはりブライアンからしてみてもアメリカはちょっと傲慢になりすぎだという事だった。
それと金持ちの国だから彼は出身を聞かれるといつもハンガリー人だと答えるらしい。
それからちょっとどころではなくすごくいい話だと思ったのは、
ブライアンが初めての海外旅行がインドの僕のことを
「亀の勇気を持っているね」
と言ったことであった。
英語ではそれを「Bileaf」と言う。
勇気といえば普通「Brave」を想像すると思う。
でもそこをあえて「亀の勇気」と表現するところの絶妙さ!
日本人ならそんな表現は絶対出てこない。
たしかに僕は「Brave」なんて大それたものは持っていないかもしれない。
動物で表現するならライオンとかのそれである。
でも、「亀の勇気」なら自分にぴったりの表現だと思った。
――たとえ動きはのろくても自分の中に揺ぎ無い自信を持って貫き通す。世の中の表面の部分だけにとらわれず、じっくりものの本質を見極める力――
自分のそう、僕がこの旅のテーマにしていたもの、それは自分の中のそんな芯の部分を見極め固めるということだった。
インドに来て自分の芯がどんなものか試してみたかったのだ。
だからブライアンにそう言われた時はとても嬉しかった。
僕はきっとこの言葉を忘れない。
実際ブライアンは僕がこんなにこの言葉に感動しているとは思いもしないだろう。
でも、僕にとってはとても意味のある贈り物だった。ありがとうブライアン。

後で分かったことだが「亀の勇気」という言葉はブライアン自身が友人に言われたことだった。
彼もまたその言葉に感動したのだろう。
いい言葉だと思わない?


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