カトマンズ編

動物園
 カトマンズの朝は寒い。
ホテルのブランケットを3枚もかぶったが寒かった。
さて、今日は何をしようか。
ガイドブックを見ているとパタン地区に動物園があることが分かったのでそこに行くことにした。
パタンまで行くにはバスを使うのが一番よさそうだ。
昨日買ったフリースを着てバスターミナルに向かった。
バスターミナルまでは少し距離があるのだがそんなに苦ではなかった。
歩いているうちに体が暖かくなってフリースは無駄だった事に気付いた。
朝の散歩はとても気分がいい。
通りの露店でイチゴを買ってみた。
1パック10Rs。安い。
もともとネパールにはイチゴというものはなく栽培されるようになったのは最近だという話だ。
バスパークの手前には朝市が開かれていた。
リンゴやオレンジの果物や衣類などいろいろなものが売られていた。
そして目的のバスパーク。
そこにはものすごい数のバスが集結していた。ぱっと見30台以上はある。
いったいどれに乗ればいいのだろう?
探すのも一苦労だ。僕は何度も人に聞いてやっとバスを探し出した。
親切な人ばかりだった。
一つ気になったのが探しているときバスパークの路上に座り込み商売していた人々だ。
変なのは彼らが売っているものが周りの状況とあまりにかけ離れているからだ。
CDウォークマンやパソコンのパーツなどの電子機器がなんの脈略もなく地面に置かれている。
何でこんなところで売ってるんだろう?
盗品かもしれない。

 しばらく走りバスはパタンに着いた。
そして動物園はやはり普通の動物園だった。
ペリカン、ハイエナ、インパラ、猿、ライオンetc……。


ハイエナとペリカン。ハイエナは日向ぼっこ中。


入園した時はまだ朝だったので動物たちは皆日向ぼっこしながらくつろいでいた。
しばらく歩いて見て回り最後に象を見に行った。
ここでは客を象に乗せるエレファントライドが楽しめるらしい。
ジャイプルでは出来なかったので少し楽しみにしていた。
しかし、その象達を見た瞬間僕は衝撃を受けた。
鎖で足を繋がれ彼らはほとんど身動きが取れない状態だったのだ。
前足に手錠をされた状態で餌を食べている。
そして何より驚いたのがそのうちの一頭が涙を流していたのだった。
僕にはそれが泣いているように見えた。
エレファントライドしようなんて気分は一気に吹っ飛んだ。
僕はことさら動物愛護をどうこう言う人間ではない。
しかし、あれを見てしまったらもうどうにもならない。
僕は申し訳ない気分でいっぱいになった。
帰り際出口付近に丁度エレファントライドのための象が一頭来ていた。
やはり近くで見るとかなりでかい。
見物人は遠巻きに見るだけで誰も近寄ろうとしなかった。
でも、僕だけは近寄って触ってみた。
とても手触りがいいとは言えないが硬くて厚みのある皮膚。
そしてその細くて小さい目は少し戸惑っているように見えた。
ほら、みんな来て触ってみなよ。
恐くないよ。


鎖につながれた象。涙の痕が見える。


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